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日曜の夜、ふと気になって親に電話をかける。「元気?」「元気よ」——その短いやりとりだけで、本当に大丈夫なのかは分からないまま電話を切る。
そんな経験をしたことはないでしょうか。
厚生労働省の「令和6年 国民生活基礎調査」によると、高齢者のみで構成される世帯のうち、単独世帯は903万世帯。初めて過半数(52.5%)を超えました。「離れて暮らす親が心配。でも毎日は帰れない」——そんな家族の思いに応えるのが、高齢者の見守りサービスです。
この記事では、以下の3つを家族の目線からわかりやすく整理します。
- 見守りサービスにはどんな種類があるのか
- 費用の相場はどのくらいか
- 自分の親に合ったサービスをどう選べばいいか
はじめて見守りサービスを検討する方にも分かるよう、順を追って見ていきましょう。
高齢者の見守りサービスとは——基本をおさえよう
見守りサービスとは、離れて暮らす家族に代わって、高齢者の安否や生活の様子を確認する仕組みの総称です。センサーで生活動作を検知するものから、人が直接声をかけるものまで、形はさまざま。共通しているのは、「何か起きたときに気づける仕組みをつくる」という点です。
見守りサービスが注目される背景
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年には3分の2の都道府県で、5世帯に1世帯が65歳以上の単独世帯になると予測されています。
一人暮らしの高齢者が増えている背景には、配偶者との死別だけでなく、生涯未婚のまま高齢期を迎えるケースの増加もあります。家族の形が変わりつつある中で、「誰かが気にかけてくれる仕組み」の重要性は年々高まっていると言えるでしょう。
2025年4月、内閣府は初めて孤立死の公的推計を発表しました。その数は年間約2万1,856人。うち65歳以上が約7割を占めています。この数字が示しているのは、「もしもの時」に誰にも気づかれない状況が、決して他人事ではないということです。
介護保険との関係
見守りサービスの多くは、介護保険の対象外です。「介護保険が使えないのか」と不安に感じる方もいるかもしれません。
ただ、見方を変えれば、介護認定を受けていなくても利用を始められるということ。つまり「まだ元気なうちから、さりげなく見守りを始めたい」という家族のニーズに応えやすい仕組みでもあります。自治体によっては補助金制度を設けているケースもあるので、お住まいの地域の情報を確認してみてください。
見守りサービスの種類——4つのタイプを解説
高齢者の見守りサービスは、大きく4つのタイプに分けられます。それぞれの仕組みと特徴を見ていきましょう。
センサー型——生活動作を自動で検知
冷蔵庫の開閉やトイレの使用、人の動きなどをセンサーで感知し、「今日も動きがあった」と家族に通知する仕組みです。
たとえば、朝起きて冷蔵庫を開ける。トイレに行く。そうした日常のルーティンを数値として把握できるのが強み。一方で、機器の設置が必要であること、検知できるのは「動きの有無」に限られることは理解しておきたいポイントです。
「元気そうに動いていても、実は気分が落ち込んでいた」——そうした心の変化までは、センサーでは捉えきれない部分があります。
カメラ型——映像で生活の様子を確認
室内にカメラを設置し、スマートフォンなどからリアルタイムで映像を確認できるタイプ。視覚的な情報量が多く、「顔色がいいな」「動きがいつもと違う」といった判断ができる点が利点です。
正直なところ、課題もあります。親御さんの中には「家の中を見られている」と感じ、心理的な負担を覚える方も少なくありません。家族としては安心のために設置したつもりでも、本人にとっては居心地の悪さにつながることがある。導入前に、本人の気持ちをしっかり聞くことが大切です。
訪問型——人が直接訪ねて確認
郵便局の「みまもり訪問サービス」や、自治体が運営する訪問型の安否確認がこのタイプにあたります。月に1回程度、スタッフが自宅を訪問して様子を確認する仕組みです。
人と直接顔を合わせるため、表情や声のトーン、部屋の様子など多くの情報が得られます。ただし、訪問頻度は月1〜2回程度に限られる場合が多く、日常的な見守りとしてはカバーしきれない部分もあるでしょう。
コミュニケーション型——会話を通じて見守る
電話やLINEなどのメッセージツールを使い、定期的に会話をすることで安否を確認するタイプです。
このタイプの特徴は、「会話」という自然なやりとりの中で、相手の様子を感じ取れること。「最近ご飯の量が減った」「話し方がいつもより元気がない」——そうした小さな変化は、日常的にやりとりしているからこそ気づけるものです。
使い慣れたツールを使うため、高齢者本人にとっても負担が少ない傾向があります。実は、NTTドコモ モバイル社会研究所の2025年調査によると、60代のスマートフォン所有率は94%、70代でも84%。LINEなどのアプリを活用した見守りは、もはや「若い人向け」の話ではなくなっています。
見守りサービスのメリット・デメリット
「導入したほうがいいのかな」と思いつつ、踏み切れない方も多いのではないでしょうか。メリットと注意点を率直に整理します。
メリット
- 離れていても安心感が得られる——日々の生活状況が分かるだけで、「何かあったらどうしよう」という漠然とした不安が和らぎます
- 異変の早期発見につながる——定期的な確認の積み重ねが、体調変化や生活リズムの乱れへの気づきにつながることがあります
- 親御さんの孤立感を和らげる——特に人が関わるタイプのサービスでは、「誰かとつながっている」という実感が精神的な支えになる場合も
- 介護の入口を柔らかくする——本格的な介護が必要になる前から始められ、将来のケアプランへの橋渡しになることもあります
デメリット・注意点
- 費用が継続的にかかる——月額制のサービスが多いため、長期的な費用計画を立てておくと安心です
- 親御さんが抵抗を感じることがある——特にカメラ型やセンサー型は「見張られている」と感じる方もいます。まずは本人の気持ちを確認するところから始めてみてください
- 万能ではない——どのタイプも、24時間すべてのリスクをカバーできるわけではありません。あくまで「安心を補う仕組み」として捉えることが大切です
見守りサービスの費用・料金相場
「実際、どのくらいかかるの?」。多くの方が気になるポイントでしょう。一般的な相場をまとめました。
| タイプ | 初期費用の目安 | 月額費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| センサー型 | 0〜30,000円 | 1,000〜5,000円 | 機器レンタルなら初期費用を抑えられる場合も |
| カメラ型 | 5,000〜20,000円 | 1,000〜3,000円 | 通信費が別途かかる場合あり |
| 訪問型 | 無料の場合が多い | 2,000〜5,000円 | 自治体サービスは無料のケースも |
| コミュニケーション型 | 無料〜数千円 | 2,000〜8,000円 | サービス内容により幅がある |
※ 料金はサービス提供会社により異なります。上記はあくまで目安としてお考えください。
費用を比べるとき、「月額が安い=お得」とは限りません。大切なのは、そのサービスが親御さんの暮らしにどれだけなじむか。多少月額が高くても、実際に使い続けられるサービスのほうが、結果的には安心につながるのではないでしょうか。
自分の親に合った見守りサービスの選び方——3つのポイント
選択肢が多いと、「結局、うちの親にはどれがいいの?」と迷ってしまうもの。選ぶ際に意識したい3つの視点をお伝えします。
ポイント1: 親御さんの性格や生活スタイルに合っているか
テクノロジーに抵抗がない方なら、センサー型やアプリ型が受け入れやすいかもしれません。一方、「機械は苦手」「自分のペースで暮らしたい」という方には、人が関わるコミュニケーション型のほうが自然になじむことがあります。
ここで忘れたくないのは、家族が「いいと思ったもの」と、親御さん本人が「これなら嫌じゃない」と感じるものは、必ずしも同じではないということ。見守りの仕組みは、続けてもらわなければ意味がありません。
ポイント2: 家族にも情報が共有されるか
見守りの目的が「家族の安心」であるなら、親御さんの様子が家族にも伝わるかどうかは大切な判断基準です。
アプリで通知が届く。月に1回レポートが届く。異変があれば連絡が来る——こうした仕組みがあると、離れていても「ちゃんと見守れている」という実感を持つことができます。
ポイント3: 無理なく続けられるか
導入したものの、3ヶ月後には使わなくなっていた——そんなケースは珍しくありません。
「設置が面倒」「操作が難しい」「毎月の費用が負担」。続かない理由はさまざまですが、共通しているのは「日常に自然と溶け込めなかった」ということ。特別な操作や機器が不要で、ふだんの生活の延長で使えるサービスほど、長く続けやすい傾向があります。
ちなみに、最初から完璧なサービスを選ぼうとする必要はありません。まずは気軽に試せるものから始めて、親御さんの反応を見ながら調整していく。そのくらいの気持ちで大丈夫です。
人の声で見守るという選択肢
ここまで、見守りサービスの種類や選び方を整理してきました。
センサーは動きを検知できます。カメラは映像を記録できます。でも、「最近ちょっと元気がないな」「いつもと声のトーンが違うな」——そうした小さな変化に気づけるのは、やはり人の力ではないでしょうか。
特別な機器は必要ありません。使い慣れたLINEで、顔の見えるスタッフが日常の雑談を通じて見守るサービスがあります。
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まとめ
高齢者の見守りサービスには、センサー型・カメラ型・訪問型・コミュニケーション型と、さまざまな選択肢があります。どれが正解かは、親御さんの性格や暮らし方、家族の状況によって異なるもの。
大切なのは、完璧な選択をすることよりも、「まず一歩を踏み出すこと」。すべてのリスクを防ぐことは難しくても、何かあったときに気づける仕組みがあるだけで、家族の安心は大きく変わります。
できることから、少しずつ。この記事が、あなたとご家族にとっての「ちょうどいい見守り」を見つけるきっかけになれば幸いです。
