「ヘルパーさんが来ない夜の時間が、ずっと気になるんです」——利用者のご家族から、こんな言葉をかけられたことはないでしょうか。

65歳以上の一人暮らし世帯は約742万世帯(令和2年国勢調査)。訪問介護やデイサービスでカバーできるのは、一日のほんの数時間にすぎません。ケアマネジャーとして、介護保険サービスの「合間」をどう支えるか。正直なところ、悩んでいる方は多いはずです。

この記事では、以下の3点をお伝えします。

  • ケアマネが紹介できる見守りサービスには、どんな種類があるのか
  • 利用者の状況に合わせて選ぶための3つの判断基準
  • 介護保険外サービスを活用するメリットと、紹介時の注意点

一つひとつ、具体的に見ていきましょう。


まず知っておきたい——ケアマネと見守りサービスの関係

月曜日の朝、事務所に着くなり電話が鳴る。担当している一人暮らしの利用者さんのご家族から、「週末、電話に出なかったんです」という不安の声。結果的にご本人は買い物に出かけていただけだったけれど、その数時間の「つながらない時間」が、離れて暮らすご家族にとってどれほど不安だったか。

こうした場面に心当たりがある方は、少なくないのではないでしょうか。

実は、ケアマネジャーの役割は介護保険サービスの調整だけにとどまりません。厚生労働省の調査研究事業でも、ケアマネジメントにおけるインフォーマルサービスの活用が重要だと示されています。見守りサービスは、まさにこのインフォーマルサービスの代表格。ケアプランにフォーマル(介護保険内)とインフォーマル(介護保険外)を組み合わせてこそ、利用者の生活を包括的に支えられるものです。

なぜ今、見守りサービスの知識が求められるのか

総務省行政評価局が令和5年7月に公表した「一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査」によると、一人暮らしの高齢者は令和2年時点で男性約231万人、女性約441万人。今後も増加が続くと見込まれています。

つまり、見守りサービスの選択肢を把握しておくことは、ケアマネジャーにとって欠かせないスキルになりつつあるのです。


ケアマネが紹介できる見守りサービス——6つの種類を整理

「見守りサービスって、結局どんな種類があるの?」と聞かれたとき、整理して説明できると心強いもの。ここでは、ケアマネジャーが紹介できる主な6タイプをまとめました。

センサー型——生活リズムの変化を自動で検知

人感センサーや家電の利用状況から、利用者の生活パターンを把握するタイプです。冷蔵庫の開閉、トイレの使用、電気の点灯といった日常動作を自動で記録し、異常があれば家族や対応窓口に通知が届きます。

たとえば、毎朝6時に冷蔵庫を開ける利用者さんが、ある朝だけ開けなかった。そんな小さな変化を、センサーが拾って知らせてくれる仕組みです。

向いている方: 生活リズムが比較的安定している方 費用目安: 月額3,000〜10,000円程度が一般的とされています(機器レンタル費含む場合あり)

カメラ型——映像で直接確認できる安心感

室内にカメラを設置し、映像を通じて家族が様子を確認できるサービス。リアルタイムの映像確認に加え、一定時間動きがない場合にアラートが届く機能を備えた製品もあります。

ただし、「見られているようで落ち着かない」と感じる高齢者は少なくありません。紹介の際は、利用者本人のお気持ちへの配慮が欠かせないでしょう。

向いている方: 転倒リスクが高い方、本人が映像共有に同意している方 費用目安: 月額1,000〜5,000円程度(機器代は別途の場合あり)

訪問型——顔を合わせる安心

スタッフや地域のボランティアが定期的に自宅を訪問し、安否確認と簡単な会話を行うタイプ。自治体の地域支援事業として無料で提供されているケースもあります。

ふとした雑談のなかで、「最近ちょっと食欲が落ちてきてね」という一言が出てくることも。直接会うからこそ分かる変化は、やはり大きいものです。

向いている方: 人との対面の会話を好む方、直接顔を合わせる安心感を求める方 費用目安: 自治体事業は無料〜低額、民間サービスは月額数千円〜

宅配型——日常の延長線上のさりげない見守り

食事の配達や郵便物の配達時に、利用者の様子を確認するサービス。郵便局の「みまもりサービス」や、宅配弁当業者の安否確認付きプランなどがこれにあたります。

「お弁当を届けたのに、受け取りに来ない日がある」。そのサインを家族に伝えてくれる仕組みは、利用者の自尊心を傷つけにくいのが利点。「見守られている」という意識を持たせずに見守れる、控えめなサービスともいえるかもしれません。

向いている方: 食事の支援もあわせて必要な方、さりげない見守りを好む方 費用目安: 配食サービスの料金内に含まれる場合が多い

通報型(緊急通報装置)——いざという時のライフライン

ボタンひとつで警備会社やコールセンターに通報できるサービス。自治体が無料もしくは低額で貸与しているケースも多く、ケアマネジャーにとっては比較的紹介しやすいサービスのひとつ。

向いている方: 転倒リスクや持病がある方、緊急時の対応を重視する方 費用目安: 自治体貸与は無料〜月額数百円、民間は月額1,000〜3,000円程度

会話型(コミュニケーション型)——声でつながる見守り

電話やLINEなどを通じて、担当スタッフが定期的に利用者と会話を行うタイプ。単なる安否確認にとどまらず、日々の雑談のなかから心身の変化に気づくことを目的としています。

ちなみに、機器の設置が不要で、利用者が使い慣れたツールで始められるため、「新しいものは苦手」という方でも続けやすいのが特徴です。高齢者のLINE利用率は60代で約76%、70代でも約60%に達しており(総務省 通信利用動向調査)、LINEを使った見守りサービスは今後さらに広がっていく可能性があります。

向いている方: 孤立感を抱えている方、話し相手を求めている方、機器の設置が難しい方 費用目安: 月額2,000〜8,000円程度


紹介する前に確認したい——見守りサービスの選び方3つの基準

種類が多いからこそ、「この利用者さんにはどれが合うのか」を判断する基準が大切になります。日々のアセスメントに以下の3つの視点を加えてみてください。

基準1: 利用者本人の生活スタイルに合っているか

見守りサービスは、続かなければ意味がありません。

たとえば、スマートフォンを持っていない利用者にアプリ型の見守りサービスを紹介しても、なかなか定着しにくいもの。一方で、LINEを日常的に使っている方であれば、LINE活用型のサービスは無理なく生活に溶け込みます。利用者さんが「普段どんなツールを使っているか」を確認するだけでも、紹介の精度はぐっと上がるのではないでしょうか。

もちろん、生活スタイルは時間とともに変化します。定期的な見直しも忘れずに。

基準2: 家族にも情報が共有されるか

離れて暮らすご家族にとって、「親の様子が分かる」仕組みがあるかどうかは大きなポイントです。

センサーが異常を検知しても、通知先が設定されていなければ誰にも届かない。「利用者さんの娘さんが、せめて週に一度は安否を確認したいと希望している」——そんなニーズに応えられるサービスかどうか、紹介前に確認しておきたいところです。

基準3: 無理なく続けられるか(費用・操作・心理面)

高額なサービスはご家族の経済的負担になりますし、操作が複雑だと利用者が使わなくなることも。そして、見落としがちなのが「心理的な負担」です。

カメラ型のサービスは、利用者が「ずっと見られている」と感じてストレスを抱えてしまうケースもあると聞きます。本人の気持ちに寄り添いながら、無理のない選択をすること。それが、長く続く見守りの第一歩になるはずです。


よくある失敗パターンと、その対策

ケアマネジャーが見守りサービスを紹介する際に陥りやすいパターンを、ふたつ挙げておきます。事前に知っておくだけで、紹介後の満足度は大きく変わるでしょう。

失敗1: 本人に相談せず、ご家族の希望だけで決めてしまう

ご家族が「センサーを入れたい」と希望しても、本人が「そんなもの要らない」と感じていれば、結局使われないまま解約に至ることも。

対策: 紹介前に、まず利用者ご本人の意向を確認する。「あなたのことが心配だから」というご家族の気持ちも伝えつつ、本人の自尊心を大切にする。そのバランス感覚が、導入の成否を分けます。

失敗2: 導入した後のフォローが抜けてしまう

見守りサービスは「紹介して終わり」ではありません。特に導入後1〜2か月は、利用状況や使い勝手の確認が重要。「操作が分からなくて結局やめてしまった」という事態を防ぐためにも、モニタリングの際に見守りサービスの状況もあわせて確認する習慣をつけておくと安心です。


タイプ別・こんな利用者にはこの見守りサービスを紹介

ここまでの内容を踏まえて、利用者のタイプ別におすすめの見守りサービスを整理しました。日々のケアプラン作成の参考にしてみてください。

利用者のタイプおすすめサービス紹介のポイント
生活リズムが安定している方センサー型日常の変化を自動で検知。操作不要で負担が少ない
転倒リスクが高い方通報型 + センサー型緊急対応と日常の見守りを組み合わせる
孤立感を抱えている方会話型話し相手がいることで、心の支えになる
機器が苦手な方訪問型 or 会話型(LINE活用等)特別な操作が不要で、続けやすい
食事の支援も必要な方宅配型栄養面のケアと見守りを同時に実現

ここまで読んで、「この利用者さんには会話型が合いそうだな」と顔が浮かんだ方もいるかもしれません。


LINEでつながる、もうひとつの見守りのかたち

介護保険のサービスではカバーしきれない「つながりの空白」を埋める方法のひとつとして、LINEを活用した会話型の見守りという選択肢が広がりつつあります。

特別な機器は必要ありません。使い慣れたLINEで、顔の見えるスタッフが日常の雑談を通じて見守るサービス「Coemii(コエミー)」は、介護保険外の見守り・安否確認サービスとして月額1,980円(税込)から利用できます。担当スタッフは固定制で、顔写真とプロフィールを確認してから選べる仕組み。「誰が対応するか分からない」という不安がなく、利用者も安心してやりとりを続けやすい点が特徴です。

ケアマネジャーとして、介護保険ではカバーしきれない時間帯の見守りや、利用者の孤立感に対する選択肢のひとつとして、知っておいて損はないかもしれません。

Coemiiについて詳しく見る(echonet.ne.jp)


まとめ

ケアマネジャーが紹介できる見守りサービスは、大きく6つの種類に分けられます。

  • センサー型・カメラ型・通報型は、異常の検知や緊急対応に強みがある
  • 訪問型・宅配型・会話型は、人とのつながりを軸にした見守りが特徴
  • 紹介の際は、利用者本人の気持ちと生活スタイルに合わせて選ぶことが大切

介護保険サービスだけでは埋められない時間がある。その空白を、見守りサービスという選択肢で少しずつ埋めていくことができます。

完璧なプランを最初から組む必要はありません。まずは、利用者さんとの日々の会話のなかで「見守り」の話題を出してみる。その小さな一歩が、利用者にとっても、ご家族にとっても、安心につながっていくはずです。


出典

  1. 総務省統計局「令和2年国勢調査」(65歳以上一人暮らし世帯数:約742万世帯)
  2. 総務省行政評価局「一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査 結果報告書」(令和5年7月)
  3. 内閣府「令和6年版 高齢社会白書」(高齢者の家族と世帯)
  4. 厚生労働省「ケアマネジメントにおけるインフォーマルサービスの活用状況に関する調査研究事業 報告書」
この記事をシェア
Contact

お気軽にご相談ください